ライター・ヤマダユウイチロウが勝手気ままに綴る極私的な食ブログ。
主に九州にて、贔屓にしている一品、お店などを紹介していきます。
お仕事紹介もついでにドウゾご覧ください。
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久留米で肉丼を食す
丼一杯、860円。
果たして、この金額は高いか、否か。

久留米に「松尾食堂」という店がある。
暖簾をあげて77年。
今から77年前といえば、
昭和6年の創業ということになる。
かの「たいめいけん」が日本橋に店を構えたのが同時期だと言えば、
どれだけの老舗かは分かって頂けるのではないだろうか。



戸をくぐると、昭和の世界が広がる。
外界とは流れる空気が違う。
見た瞬間、そこに在り続けたことが伝わってくる机と椅子。
傷の一つひとつが誇らしく、
凛とした雰囲気すらまとっている。

窓越しに見える竹の木、
時を刻む長時計。
何もかもが、淡い優しさを放つ。

供される料理は丼のみ。
親子丼、カツ丼、玉子丼。
朝倉産の上質な赤玉子だけを使った親子丼、
これがべらぼうに美味い。
かなり甘い味付けだが、
一瞬で食べるものを虜にする力強さを持っている。

がしかし、私が一番食べて欲しいものがある。
それが、肉めし(肉丼)だ。
冒頭の問いにあるように、一杯860円也。



良い肉を使っていれば、この価格も頷ける。
しかしながら、
うんたら牛といったブランド和牛を使っているわけではない。
残された選択肢は、醤油、砂糖、酒、といったところだろうか。
どれもたかが知れている。

技、なのである。

牛肉は細切れ状になっており、
丁寧に、そしてじっくりと味付けがなされている。
口に運べば、肉汁のうま味とともに、
鮮烈な甘さが一気に押し寄せる。
このはっきりとした味付けこそ、
同店の真骨頂なのだ。
食べてみるとわかるが、
文字通り「記憶に残る」味なのである。



ダシの風味も実にふくよか。
鼻腔を豊かな香りが通り抜けてゆく。
つややかな米は薪と釜を使って炊きあげるそうだ。
こちらもかみしめるほどに甘みが広がる。
手間は一切惜しまない。
丼がそう語りかけてくるかのような錯覚すら感じる。

77年という歳月の中で培われた技術から生まれた、
ここでしか食べられない唯一無比の味わい。

結論、860円は安すぎる。


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「松尾食堂 」
久留米市日吉町5-9
0942-32-5648
11:00〜15:30、17:00〜19:30頃
休日/日



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